日本語と英語 2016 5 1

 文学をするならば日本語で、
契約書を書くならば英語で書くべきかもしれまん。

書名 なぜ、その英語では通じないのか?
著者 マーク・ピーターセン  集英社

 日本語の「思う」は、英語では使い分ける必要があります。
この本によると、たとえば、以下の例文が参考になるでしょう。

「(大相撲を観戦して)私は、遠藤がその日の最も優れた力士だと思った」
 この場合の「思った」は、意見を述べているので、「think」を使います。
I thought that Endo was the best wrestler that day.

「相撲は、外国人に、ずいぶん人気があると思った」
 この場合の「思った」は、気づいたという意味ですので、「realize」を使います。
I realized that sumo is quite popular among foreigners.

「宮崎の旅がとても楽しかったので、九州のその他の県にも行ってみたいと思った」
 この場合の「思った」は、感じたことを話しているので、「feel」を使います。
I had a really good time in Miyazaki and felt that I wanted to visit other Kyushu prefectures.

「彼女は、今頃、僕たちの失敗に、ほくそ笑んでいるだろうと思う」
 この場合の「思う」は、推定しているので、「imagine」を使います。
I imagine about now she's gloating over our failure.

「彼は、現在、失業中だと思う」
 この場合の「思う」は、「私が知っている限り、〜だと思う」という意味で使っていますので、
「believe」を使います。
I believe he's currently unemployed.

 そういうわけで、文学をするならば日本語で、
契約書を書くならば英語で書くべきかもしれまん。

 さて、この本では、日本人が書いた英作文(失敗例)をたくさん掲載しています。
I think almost Japanese people are against war.
 これを日本語に翻訳するのは、意外に難しいかもしれません。
「almost」は、副詞なので、修飾できる品詞は、動詞、形容詞、副詞となります。
 そうすると、「almost」の近所にある形容詞は、「Japanese」となります。
つまり、「almost」が修飾しているのは、
「日本人であるさま」を示すために形容詞として用いられている「Japanese」になります。
 つまり、「almost Japanese people」は、
「日本人ではないが、それに極めて近い人」という意味になってしまいます。
 たとえば、日本語が流暢で、日本社会に、すっかり溶け込んでいる外国人(男性)を、
「The guy is almost Japanese.」(あいつは、ほとんど日本人だ)という具合に使います。
 そうすると、「I think almost Japanese people are against war.」の日本語訳は、
「(完全に日本人になっているわけではないが)ほとんど日本人になっている人は、
戦争に反対だと私は思います」となります。
 著者によると、おそらく学生は、
「I think most Japanese people are against war.」と書きたかったかもしれません。
(副詞の「almost」をやめ、形容詞の「most」を使う)





























































































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